集団予防接種で注射器が使い回されたことが原因でB型肝炎ウイルスに感染したとして、患者ら57人(うち3人死亡)が国に総額19億9650万円の損害賠償を求めた「B型肝炎北海道訴訟」で、札幌地裁(中山幾次郎裁判長)は12日、原告・被告双方に和解を勧告した。札幌も含め全国10地裁で係争中のB型肝炎訴訟で、和解が勧告されたのは初めて。
北海道訴訟では、中山裁判長は1月29日の非公開協議で、「和解による解決が望ましい」と発言し、双方に争点整理を促していた。12日は口頭弁論終了後、原告・被告双方が出席した協議が行われた。
訴状によると、北海道訴訟の原告57人は道内外在住の30〜60代の男女。0〜6歳のころに国による集団予防接種を受けてB型肝炎ウイルスに感染したり、集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染した親から母子感染したとされ、1人当たり1650万〜6600万円の賠償を求めている。
B型肝炎訴訟を巡っては、最高裁が06年6月、国の責任を認め、札幌市の患者5人(うち1人死亡)に対して計2750万円の支払いを命じた判決が確定している。国内にはB型肝炎の感染者が推計約140万人いるとされるが、国は感染の因果関係がはっきりしないとして一律救済を拒否。このため、08年3月の札幌地裁を皮切りに、東京や福岡など全国10地裁に患者ら383人(うち6人死亡)が順次、国家賠償を求めて提訴していた。【水戸健一】
【ことば】▽B型肝炎▽ 血液を介して感染するウイルス性肝炎の一種。ワクチンはあるが、決定的な治療法がない。同じウイルス性のC型肝炎と比べると感染力が強く、乳幼児期の感染で持続感染者(キャリアー)となる確率が高い。キャリアーの10〜15%が20〜30代で慢性肝炎を発症、肝硬変や肝がんに進行する恐れもある。86年から新生児に対する公費ワクチン投与が始まり、キャリアーは激減している。
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